2026.10.22(木)
ナイロンテープの強度は?「流(厚)」と軽量「フェザー」の試験値で解説
公的試験機関の引張試験の数値から、バッグの持ち手に必要な強さを考えます
この記事の要点
- 38mm幅のナイロンテープ「流(厚)」(ながれあつ)の引張強さは20,500N(約2,090kgf)でした。
- 同じ太さの糸・同じ織り方のまま、中空糸で約20%軽くした「ナイロンフェザー」は13,200N(約1,346kgf)。流(厚)の約64%ですが、10kgの荷物の重さ(約98N)の約135倍あります。
- 一般的なバッグの使い方で、テープ本体が引きちぎられることはまず考えにくい強さです。注意したいのは、縫製部・金具・擦れによる摩耗です。
- 特に強度が求められる用途には、フィラメント糸を使ったナイロンテープをおすすめします。
はじめに
「このテープで何kgまで持てますか?」というご質問をよくいただきます。当社が扱うテープは、どれもモノを持ち運ぶ道具として十分な機能を備えています。この記事では、公的試験機関で測定した引張試験の数値を使って、その根拠をご説明します。
引張試験の結果(単位をそろえた一覧)
次の数値は、一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター(当時は財団法人)が、JIS L 1096に準拠して測定したものです。kgfは「N÷9.807」で換算しています。
| 試験品 | 幅 | 引張強さ | kgf換算 | 伸び率 |
|---|---|---|---|---|
| ナイロン「流(厚)」 | 38mm | 20,500N | 約2,090kgf | 35.0% |
| ナイロン「フェザー」(中空糸) | 38mm | 13,200N | 約1,346kgf | 38.1% |
| PPテープ(厚さ1.2mm) | 20mm | 2,570N | 約262kgf | ― |
| PPテープ(厚さ1.6mm) | 50mm | 12,200N | 約1,244kgf | ― |
引張強さは、テープを引っ張って切れたときの力です。ナイロンの2品は3回測定した平均値です。PPとナイロンは幅・厚み・織り方が違うため、この表だけで素材の優劣は比べられません。
ナイロンフェザーは弱い? 軽さを優先したテープです
「流(厚)」と「ナイロンフェザー」は、まったく同じ太さの糸を使い、同じ織り方をしています。違うのは糸の形状だけです。フェザーは中が空洞になった中空糸を使うことで、重さを約20%軽くしています。同じ38mm幅で比べると、流(厚)20,500Nに対してフェザーは13,200N(13,200÷20,500=約64%)。中空になっている分だけ強度は下がります。
ただし、下がった後の13,200N(約1,346kgf)でも、体重65kgの大人およそ20人分の重さに相当します。バッグに使うテープとして、強度が足りないという水準ではありません。
バッグに使って十分といえる理由(試算)
- 荷物の重さ:10kgの荷物を入れると、持ち手には約98N(10kgf)の力がかかります。持ち手が2本なら1本あたり約49Nです。
- 衝撃を見込む:持ち上げる瞬間や歩くときの揺れでは、一時的に荷物の重さ以上の力がかかります。明確な基準はありませんが、この負荷を荷物の重さの仮に3倍とすると、約294N(約30kgf)です。
- フェザーと比べる:13,200N÷294N=約45倍。衝撃を見込んでも、なお45倍の余裕があります。流(厚)なら約70倍です。
- 幅が狭い場合:仮に幅が半分になり、強度も半分(約6,600N)になったとしても、衝撃を見込んだ294Nの約22倍です。
- PPテープでも:20mm幅のPPテープ(2,570N)でも、衝撃を見込んだ294Nの約8.7倍です。
実際に、当社が扱うテープで「バッグの持ち手が切れた」という話はほとんど聞きません。試験の数値と、長年の取引で積み重ねた実績が一致しています。
※この試算は、テープ単体の強さを説明するための目安です。「3倍」は仮定の数字で、業界の基準値ではありません。完成品の耐荷重は、縫製や金具を含めて確認してください。
切れるとしたら、原因は「摩耗」
テープが傷む原因は、一度に引きちぎられるほどの力よりも、使う中で何度も擦れることによる摩耗です。金具や角に当たる部分で、テープの端(耳)の繊維から少しずつ傷んでいくケースが見られます。縫製の工程で繊維に傷がつくこともあります。
擦れへの強さも糸の形状で変わり、一般にフィラメント(長繊維)が強く、ウーリー(加工糸)、スパン(短繊維)の順になると考えられます。
強度を決める要素と素材の考え方
テープの強度は、糸の形状、太さ、本数で決まります。中でも影響が大きいのは、テープの長さ方向に通る経糸(たていと)の太さ・強さ・本数です。織り方や幅によっても変わるため一概には言えませんが、選ぶときの目安になります。
- ナイロンテープ:フィラメント糸(長繊維)。強度重視。
- ポリエステルテープ(エスティ、エコテルなど):ウーリー糸(加工糸)。柔らかさと強度のバランス型。
- アクリルテープ:スパン糸(短繊維)。風合い重視。
同じフィラメント糸どうしで比べると、ナイロンのほうがポリエステルより強くなります。PPとアクリルは、どちらが強いとは一概に言えません。
よくある質問
Q. ナイロンテープは何kgまで持てますか?
A. 38mm幅の試験例では、流(厚)が約2,090kgf、フェザーが約1,346kgfで切れました。これは切れる瞬間の力なので、そのまま「入れてよい重さ」ではありません。それでも一般的なバッグの荷物に対しては、非常に大きな余裕があります。
Q. フェザーはバッグの持ち手に使えますか?
A. 使えます。流(厚)の約64%の強度ですが、10kgの荷物の重さの約135倍、衝撃を3倍と仮定しても約45倍あります。流(厚)より約20%軽く、軽さを求めるバッグに向いています。
Q. 1kNは何kgですか?
A. 1kN=1,000Nで、約102kgfです。
Q. 強度を最優先するなら、どのテープがよいですか?
A. フィラメント糸を使ったナイロンテープをおすすめします。
商品・お問い合わせ
流(厚):https://kasai-tex.jp/shop/product/nylon-tape/nylon-satin-1027/
ナイロンフェザー:https://kasai-tex.jp/shop/product/nylon-tape/nylon-feather-1038/
ナイロンテープ一覧:https://kasai-tex.jp/product-category/nylon-tape/
用途や荷物の重さを教えていただければ、合うテープをご提案します。
お問い合わせ:https://kasai-tex.jp/contact/
出典:一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター 試験成績証明書(PP 50mm:2002年、PP 20mm:2006年、ナイロン38mm:2013年)。JIS L 1096準拠、定速伸長形引張試験機、温度20℃・湿度65%RH。数値は試験品の測定結果で、現行品の性能を保証するものではありません。